ニューヨーク(ダウ・ジョーンズ)22日の外国為替市場では、米国住宅指標の発表を控え、ユーロ圏の経済指標が期待はずれだったことと、米連邦準備制度理事会(FRB)関係者の発言が相まってドルの支援材料となり、ドルは主要通貨に対して上伸した。
ドイツの欧州経済センター(ZEW)が発表した景況指数は、7月の15.1から8月はマイナス5.6に低下し、ユーロに対する強気筋を失望させた。予想された10.3を大きく下回り、ユーロ圏最大の経済国ドイツを中心として、ユーロ圏全体の経済成長が急激に減速する懸念が高まった。欧州市場の取引で、ドルの売り持ち高を解消する動きが加速し、ニューヨーク市場の寄り付きには、ドル相場の足場が固まった。
ユーロは1.28ドル台に戻り、ドルが116円50銭近辺で取引されるなか、投資家は23日の米東部時間午前10時(日本時間午後11時)に発表される7月の中古住宅販売統計を待っている。
一方、シカゴ連銀のモスコー総裁が金融引き締めに前向きな姿勢を示した。イリノイ州ブルーミントンのマクリーン郡商工会議所で講演したモスコー総裁は、インフレを容認できる水準に戻すために、さらに利上げしなければならないかもしれないと語り、北米市場の取引でドルが上値を伸ばす材料となった。
市場の状況や住宅市場減速の懸念、経済成長の底堅さ、高いエネルギー価格を考慮すると、「私の評価では、インフレがまだ高すぎるというリスクのほうが、経済成長が低すぎるという危険性よりも高い」とモスコー総裁は述べ、「したがって、適当な期間内に、インフレ率を居心地の良い水準に戻すためには、さらなる引き締め政策がまだ必要かもしれない」と語った。
これに対しアトランタ連銀のグイン総裁は、金融政策は必要な水準にあると思われ、経済成長が続き、やがてインフレが低下傾向をたどると予想していることを明らかにした。アトランタでの講演後の記者団会見でグイン総裁は、「前回の政策会合において、金融政策の概念が、私にとって最善の経済成長とインフレの見通しに適切に調整されたと思われることに、私は満足している」と語った。そして、金融政策を進めるに従って、経済情勢は「引き続き評価すべきもので、長期的に向かう状況がわれわれの見解と異なるものになれば、政策の処方せんも違ったものになるだろう」と語った。
グイン総裁とモスコー総裁の対照的な発言は、FRBの先行きの金融政策に対する市場の不透明感を浮き彫りにした。
22日の米東部時間午後4時50分現在、円は1ドル=116.51-54 円(21日午後5時50分現在115.90-94円)、ユーロは1ユーロ=1.2804-08ドル(同1.2889-94ドル)、英ポンドは1ポンド=1.8878-82ドル(同1.8928-33ドル)、スイス・フランは1ドル=1.2338-42フラン(同1.2243-48フラン)で取引されていた。
一方、米国債市場では、米国債市場では、シカゴ連銀のモスコー総裁がインフレ警戒感を示したことを受け、午後早々の取引で米国債価格は下落したが、取引終了にかけて長期債価格は前日終値水準を回復し小幅高となった。
指標銘柄の10年債利回りは、午前の取引で4カ月半ぶりに4.80%まで低下し、4.81%で取引を終えた。2年債利回りは横ばいで4.87%だった。
モスコー総裁が「さらなる金融引き締め」が必要とされる可能性について語ったことから、堅調に取引が始まった米国債は、午後早々に値を崩した。しかし、その後徐々に米国債は持ち直した。
「過去1カ月半で、大幅な反発上昇が見られたが、今日のようにタカ派的発言を問題にしなかったことを見ると、まだ需要が残されているようだ」とバンク・オブ・アメリカ証券のチーフ金利ストラテジスト、マイケル・クロハティー氏は語った。
モスコー総裁よりもわずかに先だって伝わったアトランタ連銀のグイン総裁の発言も、米国債価格を圧迫した。
グイン総裁は、インフレ圧力を抑えることが重要だということを再確認し、「今後の金融政策担当者は、経済成長に対してつかみどころの無いインフレを扱う際に、過去40年間でわれわれが学んだ教訓を憶えていることを確信している」と語った。しかし、その後、現在の金融政策の姿勢には「満足している」とも述べた。
フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、モスコー総裁の発言後も、次回9月20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げする可能性は極めて低いと見られている。ユーロドル金利先物12月限は、年末までに利上げされる可能性を、わずか12%しか織り込んでいない。
米東部時間午後5時現在、指標銘柄の10年債は前日比1/32高の100 16/32で、利回りは4.811%となった。30年債は4/32上伸し93 2/32で、利回りは4.948%に下がった。一方、2年債は横ばいの100 7/32で、利回りは4.870%、5年債も横ばいの100 15/32で、利回りは4.765%だった。
ダウ・ジョーンズ工業株価平均は前日比5ドル21セント安の11,339ドル84セントで、店頭市場のナスダック総合指数は2.27ポイント高の2,150.02、S&P500種指数は同1.30ポイント高の1,298.82となった。
(日本経済新聞より)