県が18日公表した基準地価(7月1日時点)によると、県内では15年ぶりに住宅地と商業地の双方が上昇し、バブル崩壊後の下落傾向に終止符が打たれた。地価が上昇した地点は調査地点の約3分の1になり、前年に比べ大幅に増えた。
「元気なナゴヤ」は相変わらずで、全国の商業地の価格上昇率上位10地点のうち、大規模開発が進む名古屋駅周辺が今年もトップ3を独占した。住宅地、商業地とも名古屋市の価格上昇が県内全体を押し上げた格好だ。その一方で地価の2極化も進んでいる。(文中の地価は1平方メートル当たりの価格)
■用途別
住宅地が0・2%、商業地が2・6%上昇し、15年ぶりにプラスに転じた。前年はそれぞれ2・1%、2・0%の下落だった。基準年の1983(昭和58)年を100とした場合、住宅地は106、商業地は64のレベル。地価がピークだった1991年を100とすると、住宅地は60、商業地は30となった。
工業地など他の用途は15年連続で下落したが、下げ幅は前年より縮小した。下落率は宅地見込地が3・9%(前年5・0%)、準工業地が1・5%(同3・3%)、工業地が0・2%(同3・2%)、調整区域内宅地が1・9%(同3・5%)となっている。
名古屋市では住宅地が前年のマイナス0・2%からプラス4・4%と、16年ぶりに上昇に転じた。商業地は2年連続の上昇で、上げ幅は前年の0・6%から9・6%へ大きく伸びた。地域別には尾張、知多、西三河、東三河とも住宅地、商業地は、下げ幅は縮小したものの引き続き下落しており、名古屋市の上昇が県内全体の上昇に大きく影響した。
■基準地別
前年から継続して調査した793地点のうち、上昇か横ばいは約半数の399地点。うち上昇は261地点と、前年の79地点から大幅に増えた。
住宅地でプラスだったのは前年の49地点に対し、今年は165地点。上昇率11・8%でトップだった「名古屋市千種区菊坂町2の44」(28万5000円)をはじめ、上位には地下鉄東山線の駅から徒歩圏内や高級住宅地付近にある調査地点が並んだ。最高価格は前年と同じ「名古屋市東区橦木町3の4」(30万6000円)だった。
商業地で上昇したのは68地点で、前年の29地点からほぼ倍増。前年に続いて最高価格だった「名古屋市中村区名駅3の28の12、大名古屋ビルヂング」(588万円)は上昇率も35・2%で前年と同様、全国1位となった。同じく35・0%の「中村区名駅4の6の23、第3堀内ビル」(405万円)、33・3%の「中村区椿町1の16、井門名古屋ビル」(192万円)とともに、今年も上昇率の全国トップ3を占めた。
高層ビル建設が続く名古屋駅周辺だけでなく、商業施設が集積する名古屋・栄地区も「中区錦3の5の30、三晃錦ビル」(200万円)が32・5%プラスとなるなど都心部は高い上昇率を見せた。
県調査の代表幹事を務めた不動産鑑定士の小川隆文氏は「地価が軒並み上昇したバブル期と違い、優良な住宅地、収益性の高い商業地ほど高く上がっている。不動産投資信託の影響で商業地が上がり、次に住宅地が期待された形だ。景気回復で土地の市場が変わった」と話す。
■市町村別
住宅地は59市町村中、名古屋市など15市町で平均変動率がプラスとなり、上昇が1市だけだった前年とは大きく様変わりした。また36市町村で下落幅が前年よりも縮小した。
上昇率の上位は名古屋市(4・4%)、東郷町(3・7%)、豊明市(3・1%)、長久手町(2・8%)などの順。名古屋市の東部から、自動車産業が好調な西三河地域にかけてのエリアが上がっている。名古屋都心部への不動産投資の波及効果や、自動車関連メーカーの従業員の住宅需要のためとみられる。
下落率が高かったのは南知多町(10・3%)、常滑市(7・4%)、武豊町(5・2%)、蒲郡市(5・0%)の順で、南知多町は5年連続で最大の下落率。知多、東三河地域などの8市町で下落幅が拡大した。常滑市は区画整理が進んで供給過多なうえ、中部国際空港の開港で人口は増えたが、単身赴任が多く住宅需要に結びついていないという。
商業地で平均変動率がプラスとなったのは名古屋市など3市で、前年の1市より増えた。高浜市や日進市など4市町が横ばいとなり、30市町で前年と比べて下落幅が縮小した。
上昇率は上位から名古屋市(9・6%)、岩倉市(1・7%)、安城市(0・6%)の順。下落率は南知多町(10・4%)、常滑市(8・8%)、津島市(6・1%)の順だった。
名古屋市の区別では、住宅地は基準地のない中区を除く15区すべてで上昇した。上位5区は以前から人気の高い千種、昭和、東、瑞穂、名東で東部に集中。商業地は港、守山を除く14区でプラスとなり、上位3区は中心部の中(22・8%)、中村(21・4%)、東(20・8%)だった。
■鉄道沿線別
名古屋駅を起点とした鉄道沿線別の住宅地の平均価格は、名鉄瀬戸線の0−5キロ圏内が22万4300円で最も高く、上昇率も7・9%でトップだった。同線の5−10キロ圏内もプラス5・5%(15万8600円)、10−15キロ圏内はプラス2・5%(11万1900円)で、名古屋市守山区から尾張旭市にかけてのエリアも、名古屋市中心部の上昇が波及する形となった。
ほかに上昇率が高かったのは▽JR中央線の5−10キロ圏内が4・0%(15万1800円)▽JR東海道線の5−10キロ圏内が3・8%(16万5000円)▽名鉄豊田線の10−15キロ圏内が3・7%(11万5500円)▽名鉄小牧線の5−10キロ圏内が3・6%(14万7500円)−など。
名古屋北東部、東部にかけての郊外や西三河地域が上昇する一方で、名鉄常滑線の30−35キロ圏内がマイナス10・1%(8万9000円)となるなど、知多方面の路線の下落が目立った。リニモが通る長久手町では駅周辺の3地点が0・9−3・9%上昇したが、名古屋中心部への利便性が評価されたとみられる。
【基準地価】国土利用計画法に基づいて知事が毎年実施。通常の取引で成立すると認められる単位面積あたりの標準価格で、不動産鑑定士に評価を求め、国交省との協議などを経て判定。国が実施する地価公示とともに土地取引の指標となる。今回の調査地点は63市町村の821地点。各県事務所や市町村役場、インターネットの県のホームページで閲覧できる。
(中日新聞より)